※現在は跡形もない
本町一町目書林風月堂が家に珍蔵していた。風月堂二代目の主・孫助は、芭蕉翁の門人で夕道と号す。貞享四年(1687)十二月、芭蕉翁がこの店に立ちよった折、雪が降り出したので、即吟の句を夕道に与えたという。
書林風月ときゝし其名もやさしく覺えて、しばし立寄てやすらふ程に雪の降出ければ
いざ出む雪見にころぶところまで はせを
丁卯臘月初 夕道何がしに贈る
と見える。その後也有翁がこの一軸を見られた時
手の跡や雪の足あと見ぬ世まで
参考:『尾張名所圖會 前編 巻一』(岡田啓・野口道直、天保十五年-1844)