※詳細な場所は不明。尾張旭市新居町におく。
新居村にある。むかしここに大池があったが、年々理由なく水が溢れ堤が壊れ、田畑を損なったので、土人は怪しみ、筮者に占わせたら、五月一日に、女が機織る道具を持ってこの池のほとりを過ぎる事があるだろう、その女を捕えて池の中に投げ入れ、堤を築けば、その後は水害は起きないと占った。さてその日になれば、案の定、若い女が機織る道具を携えて、池のほとりを過ぎていたので、村民等情けもなく女を捕えて、池の中に打ち入れた。その後、堤が崩れる事なく、水害は止んだが、村のなかで、もし五月一日に機織る女あれば、かならず暴死する。これは彼女の怨魂のなす現象であると、みな恐れをなし、その菩提のために一寺を建立して、道浄寺と名付けたが、今は廃して、ただ機織池のあとのみ残った。しかし今もこの村では、五月一日は機織る事を禁じているという。
参考:『尾張名所圖會 前編 巻四』(岡田啓・野口道直、天保十五年-1844)