角岡村にあり、圓月坊と号す。天台宗で野田密藏院の末寺。当寺の創建年月は詳らかでないが、開基は法印守慶と伝わる。かつては大乘坊と称し、古き棟札には「平樂」ともみえる。「平泉」の泉あるいは「楽」の字を誤ったものかと考えられる。

文治六年(1190)八月十五日、右大将・源頼朝が当寺に投宿し、阿彌陀堂にて月を賞しなさった時、坊の名を尋ねたところ、守慶が「大乘坊」と申すと、右大将は「月の明らかなるに礙(さえぎ)るべきものもなくさえ渡れば、圓月坊と称すべきよし」と命じたという。しかし『東鑑』(『吾妻鏡』)に文治六年十二月二五日頼朝公大御堂寺に詣でたことが見え、その時ここに立寄りなさったとみるのが妥当で、八月十五日というのは誤りであろう。

本尊
不動明王。

客殿
阿弥陀の木像を安置する。慈覚大師の作で、御長三尺余の坐像。

什寶
現在、英比の虫供養に用うる阿弥陀の一軸は、もと当寺の什寶なりしが、いつの頃よりか村々の廻持となった。靈寶はこの他許多あるが略す。

参考:『尾張名所圖會 前編 巻六』(岡田啓・野口道直、天保十五年-1844)

知多郡阿久比町
種別