国文学研究で知られる藤掛和美(1938-1999)の『わがふるさと詩抄』には江南市域の詩がある。

四月十七日 古知野祭りの日
少年の僕は 古知野駅前末広旅館の二階に居た。

狭い駅前通りを次々と献馬が通る
ぎっしりとハッピ姿の 人 人 人
アセチレンの匂いが一杯だった夜にも
神輿が ワッショイ ワッショイ

駅の待ち合い室にも人が一杯
売店のなつかしい ぐるりが腰掛ベンチの
待ち合い室であった

(中略)

末広旅館の二階は祭り見物の特等席
いとこ達とあぶらげ寿司をほおばり
奥の部屋から時々聞こえる芸妓さんの嬌声に
心ときめかせ
少年の僕は「末広」の二階で得意であった

あの 末広旅館も駅前通りも 壁ぼこりの中に
消えてしまった
女将のおばさんも逝きて久しく
そして 我が愛すべき叔父貴「松ちゃん」も又
既に幽明界を異にする

江南市