寺号は宇宙山。曹洞宗大源派にして、遠州大洞院の末寺。文明七年(1475)乙未に水野蔵人貞守が創建し、川僧和尚を開山とした。明應元年(1492)庚申八月以降、故ありて輸番持となった。
当寺は、遠く人家の塵寰を離れ、老松と深い林のなかに巨堂高厦を構え、屋上はすべて茅葺である。古色隠然、境界清淨、朝には老訥香を焚き、磬を鳴らして大乘般若を誦し、夕には数僧地を掃き、水を灑ぎ、供花獻燈を換える、凡俗の到る者稀にして、白雲常に廻廊を鎮せるさまは、実に塵外の一乾坤にして、寺号山號(号)まで空しからざる境地なり。
本尊 釈迦の木造。
末寺 尾張・三河に四十余ヵ寺あり、その中から毎年八月住代が交代せり。水野氏累世の位牌あり。また水野右衛門大夫忠政及び三子の墓あり。
寺宝
喚鐘 永正十年癸酉小川下野守後室禪尼賢貞寄進と銘あり。
鼠燈臺 二世逆翁禪師の作にして、その製最奇なり。
水野蔵人貞守繪像及び木像。
此外唐畫最多し。文明十九年五月十八日、真守行年五十一
中でも辨財天の畫像はことに名人の筆にして、壁上に掛けられ、香花を供えている。夜も更ける頃には、 小さな音曲が、かすかに聞けたという。水野家には代々の古證文多くありしが、中世に紛失して牛革に模写した證文のみ今にのこっている。。
参考:『尾張名所圖會 前編 巻六』(岡田啓・野口道直、天保十五年-1844)