味鋺村にあり、現在は六所明神と称す。『延喜神名式』に味鋺神社、『本國帳』に従三位味鋺天神と見える官社である。祭神は大日孁尊・日本武尊・建角見命・天兒屋根命・武甕槌命・譽田天皇の六所。神輿殿・拝殿・鳥居等あり。末社は白山社・神明社・金毘羅社、神宝は太刀三振・鉾四本・鏡一面・弓三張。
八月二十九日。味鋺川の側にある御宿院へ神幸する。その次第は榊・獅子・旗・鉾・弓等を持ち行き、次に子供が笛太鼓で路樂を真似る。各々烏甲を着す。これを「子供伶人」という。神輿の後から、若い者は陣羽織を着て、 兜䥐頭巾を被った三人、裃・鉢卷の一人が供奉する。 馬は引かせて行く。 神輿が還幸あった後、各々馬場で騎射した。それからさま〴〵な曲騎がある。『鹽尻』に、およそ諸社神形の数をもって幾所という事がたいへん多い。 当所の社人に聞きなさると、 神形は六軀あったといふ。なので社号を忘れ、ただ六所の明神とのみ称するのか、と見える。
神主 松岡氏。
参考:『尾張名所圖會 後編 巻三』(岡田啓・野口道直、明治十三年-1880)