蒲生・甲賀の界に屹立する。北の尾崎は神崎郡に亘り、日野から山麓まで二里、麓より絶頂まで七十町余りある。欽明天皇六年(1634)四月、この山頂に綿向神社を鎭座し、二十一年経て社殿が造営された。祭神は天穗日命。後世に日野に遷座された。
山の半腹に笠掛馬場という所があり、ここから上は笠を被ったままでは登り難いという。またその上に山伏居場という清泉のある所がある。昔、近江の山伏は大峰に入ることに擬して、多くがこの山に登ったという。
日野より鎌掛辺の山中より堀り出され、薪炭を代用する。土人は「石ずみ」という。よく火に燃える。
参考:『近江名跡案内図』(静里北川舜治、明治二十四年-1891)426頁