『縁起』によれば、長範は淡路国葺原ヶ獄の麓に祀られている岩屋大明神の神宝を盗みだし、当地の烏帽子ヶ獄に奉祀した。しかし神霊赫々として夜な夜な光を出したので、大いに驚いて、ついに神宝を川に投じた。
その神宝を土地の人が拾い上げて奉祀したのが、牧田川一の宮・遊波大明神であり、更にその一部は流れて二の宮・流彦大明神(多良の惣社・大神神社)、三の宮・長彦大明神(一之瀬の惣社・長彦神社)、四の宮・麦草大明神(荻原八幡神社)、六宮・七頭大明神(伊勢の川合神社)、七の宮・篠塚大明神(養老町橋爪篠塚神社)となったという。
長範は熊坂長範のことで、『今昔物語』や『宇治拾遺物語』に登場する平安末期に京に出没した大盗賊の首領として描かれている。
参考:『上石津町史』(上石津町、昭和五十四年)102、103頁