内津村は田畑なく、山嶽のみで、当国の高山である。東北は美濃の可児郡池田村で、そこは霧が降りる日が多く、この山には夕嵐が吹く日が多く、その日は天が快晴になるため、里人のことわざで「池田の朝霧・内津の夕嵐」と言い慣わす。また隣村の外原山はこの山と山脈がつゞき、当国の深山で、猪・鹿等が多く、山間の田畑には悉く鹿除の垣があり、村落もたいへん幽棲である。外原山には秋冬の頃、毎暁、風が起こり東北より吹きおろす。もし未明に風が止まれば、かならずこの日は雨が降る。この風によって晴雨を占うという。これまた里のことわざで「外原の私風」といい慣い、池田・内津の朝霧・夕嵐と対になっている。
参考:『尾張名所圖會 後編 巻四』(岡田啓・野口道直、明治十三年-1880)